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(2) 居場所づくり

1)どのように居場所を決めるのか

次は具体的に「どこに居場所をつくるのか」を考えていきましょう。

場所をどこに設けるかは、運営を考える上でとても重要です。なぜならば、子どもた ちにとって本質的な変化を生み出すためには、「環境(場)が継続的かつ安定的に提供 される」必要性があるからです。その価値を下支えしてくれるのは「地域」であり、「地 域の人々」です。子どもたちの身近にいる地域の方々こそが、子どもたちの成長を見守 り、支え続けるためには大きな役割を果たしてくれます。

困難を抱えた子どもや家庭は、頼れる人がいない、頼る場所がない、という「社会的 な孤立」の状態にあるケースも少なくありません。学校で居場所がない、もしくは学校 や家庭以外の人間関係を持てない親御さんや子どもが「孤立」しないためには、地域の 中に、信頼できる人がいること、そしてその人と交流できる場が安定的に提供されるこ とが大切なのです。

地域の選定で、大前提となるのは、「支えるべき子どもや保護者がいる地域であるこ と」。そして「地域の方が一人でも二人でも関わってくれる方がいること」です。

私たちは、宮城県仙台市内にて居場所を開設しました。その際には、仙台市内に、私 たちのサポートの対象となるご家庭がどう分布しているか、リサーチを行いました。具 体的には対象者が多いと思われる市営住宅や県営住宅、その付近にある学校の児童数 を調べました。

こうした事前リサーチである程度の仮説が立った後は、その地域の自治会の情報を 収集します。自治会が成り立っているのか、自治会長や役員が毎年当番制になっていな いか、自治会からサポートいただける環境か、等をまずは確認します。その後、自治会 の方に直接お会いをし、地域の中で対象者と見られる家庭や子どもがいるのか、団体の 目的にご賛同いただけるか、地域でボランティアをしたいという方がいるかなど、話し 合いの中から必要な事項を確認していきます。

STORIA の場合では、居場所の選定から地域との最終的な合意形成まで、約半年弱を 要しました。場所の選定はとても大切な要素ですので、地域の方々のニーズも汲みなが ら、その地域の実情に合わせて進めていくことが大切です。

POINT1
居場所が安定的かつ固定で開設できる場所であること

POINT2
自治会が機能し、地域の方が関わってくれる場所であること

POINT3
地域のニーズや実情に合わせ、じっくり合意形成に向かうこと
このほか、下記の内容を確認しておくことも大切です。

・ 居場所を開設する曜日と時間
・ 借りるための家賃や光熱費の取り決めと契約
・ 災害や地震などが起こった際の、地域で決まっている避難経路と方法の確認
・ 対象家庭や子どもの情報提供のご依頼


2)地域で居場所を継続するために大切なこと

地域で継続的に居場所を運営するためには、その場所に住む方々と、よりよい人間関 係を築くことが鍵です。

私たちは地域のお祭りや清掃などの行事には率先して参加させていただきました。 地域の方々との交流が深まることで、地域のよいところや抱えている課題が見えてき ますし、地域の一員として受け入れてもらうことで、家庭や子どもたちの情報も教えて いただけます。また、居場所づくりへの協力者も増えてきました。

地域の方々と一緒に居場所を作る際に私たちが大切にしていることは、各個人の関 わってくださる想いをよく聞き、その想いがなるべく叶うような環境を考え、その実現 に向けて一緒に行動することです。

例えば、「子どもの食事をつくることで、これまでの自身のキャリアを生かしたい」 「大工仕事をしているから、子どもたちにモノづくりの楽しさを教えたい」というよう な方もいらっしゃいます。これはつまり、『何のために』という組織のパーパスを共に 大切にしつつ、個人のパーパスを大切にする、という共存環境づくりを指します。

取り組みの過程では、時には方向性が合わなくなることもあるかもしれません。その 際は、丁寧に対話を重ね、組織と個人のパーパスを語り合うことで再出発ができます。 私たちはそのことを何度も経験しました。

着地点として重要なことは、双方のパーパスと VISION から一歩先にある新しい最善解を見つけるということです。

POINT1
地域の一員として地域に関わる

POINT2
地域の方々のパーパスを聴き、生かせる環境をつくる

POINT3
向性が合わなくなった時には、活動の「パーパス(意義)と VISION(目指 す社会・未来」から対話を再出発し、新しい最善解を見つける

STORIA

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