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(3) 資金づくり

ここまで、人と場の大切さをお伝えしてきましたが、今度は資金の話です。

私たちの運営費は、これまで「助成金」「寄付金」にて活動を行ってきました。主に、 助成金についてお伝えしたいと思います。

1)助成金

子どもをサポートするための助成金は、財団や企業などから、昨今では数多く募集が 行われています。従ってどの助成金を選択するのかという点は、とても迷うところでも あります。

私たちは、助成金を選定する際に次のポイントをとても大切にしています。

POINT1
助成金が求めている趣旨と自団体の趣旨の方向性が合っているか 

POINT2
資金提供者と自団体がパートナーとして、「事業を一緒に作る」という視点での関係構築ができるか

POINT3
人件費、さらには管理費の計上ができるか POINT4: 助成金の原資はなにか

POINT1
助成金が求めている趣旨と自団体の趣旨の方向性が合っているか 

資金提供者には、助成金を通して成し遂げたい理念や成果があります。募集要項でもある 程度は読み取れますが、ウェブサイト等の情報を見ながら「資金提供者の求めていること」 をよく読み取る必要があります。

例えば、資金提供者が求めている中長期的な効果・活動量と内容・事業の先駆性・継続性・ 実現性・汎用性、さらには社会的インパクトや国や自治体などの施策につながるか、といっ た点が挙げられます。

資金提供者が求めている点は、資金提供先によって異なります。また資金提供者ごとに求 める点には優先順位があります。

資金提供者の求める点と、助成を受ける私たちの意識に万が一ズレがあった場合は、自団 体が目指している方向性との乖離が活動を進めるごとに深まり、団体の評価も下がります。 また活動を行うスタッフにとっても良い影響を与えません。このような齟齬は、結果として 私たちがサポートしたい保護者や子どもたちとの関係構築にまでも影響を及ぼしてしまい ます。従って、助成申請の際にはこうした点に十分留意し、資金提供者の意図や目的をしっ かりと理解した上で申請することが重要です。

POINT2
資金提供者と自団体がパートナーとして、「事業を一緒に作る」という 視点で関係構築ができるか

助成金を申請する際、多くの場合は地域の状況や事業のあるべき姿、自分たちができる範 囲の取組みとは何か、仮説を立てたり、調査を行いながら、事業を提案します。事業を行う 中では、申請当初の仮説とは異なる結果が生まれたり、環境変化により事業内容を変更せざ るを得ない状況も生まれます。こうした際に、事業変更の必要性に対して一定の理解を示し、 柔軟に対応をして下さる資金提供者と出会えているかどうかが、事業のスムーズな進行と、 真の意味での成果発揮を考える際には重要です。

さらには、申請した内容がより良く進展するように、採択者と共に考えてくれる資金提供 者、言ってみれば「パートナー」としての関係性を築けるのかも重要です。

こうした点を確認するためには、助成財団等が行う説明会に積極的に参加したり、必要に 応じて電話等でコミュニケーションを図ることが重要です。また、過去の助成先を公開して いる場合は、そうした情報をもとに、周辺情報を確認することも有用でしょう。

ただし、事業の変更は、その団体が十分に努力をしていること、環境変化などの外部要因 や、元々持っていた事業仮説をしっかりと検証した結果としての提案であることが必要で す。事業をしっかりと遂行させる努力を行いながら、資金提供元ときちんと対話をする姿勢 が、私たちにも求められています。

POINT3
人件費、さらには管理費の計上ができるか

活動するためには人が必要です。無償のボランティアとして強力できる方にご協力頂く ことも大切ですが、一方で居場所の安定的な運営や継続のためには、人件費の確保も重要に なります。助成金に申請する際には、事業内容に人件費がどの程度必要なのか、当該助成事 業は人件費を計上できるものなのかどうか、確認することも大切です。また、事業を行う際 は、事務や会計なども必要になってきますので、可能であれば管理費も計上できる助成金だ と安心です。

POINT4
助成金の原資はなにか

助成金の元となる原資は何かということも、私たちは確認します。理由は、出し手への感謝と想いを馳せて事業に使わせていただくことを大切にしたいという思いがあるからです。

同時に、社会課題を生み出している企業等からの助成金ではないかという点についても、 確認しています。社会課題を解決する団体が、社会課題を生み出している元から資金提供を 受けることには矛盾を感じるからです。こうした点については、団体ごとに考え方が様々だ と感じています。従って、ご自身の団体のメンバーとよく話し合い、その助成金に申請すべ きかどうか、一緒に取り組む仲間と合意形成を行う機会をつくることが大切だと思います。


【コラム】運営費ってどのくらい?

居場所を開設するにあたり、運営費がどのくらい掛かるのかは、とても気になるところです。 STORIA では 1 つの居場所に約 15~20 名の子どもを受け入れています。この場合、1 拠点に の運営には、年間で約 350 万円~400 万円ほどの資金が必要です。

費用のうち最も多くの割合を占めるのはは人件費で、全体の約 65%にあたります。次に食 材費(居場所での食事と家庭への食糧サポート)、非認知能力のプログラム開発費と運用費 という順です。非認知能力のプログラム開発費において、専門的な知見が必要な場合は、新 たに資金を約 100~200 万円調達します。その際に必ず、人材育成研修もセットとしていま す。これは、研修を修了した後にプログラムの開発と運営が自団体でできるようにすること を、ゴールとしているからです。

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