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STORIA の価値とは

核となる価値:個の受容・場としての継続・安定

「ありのままの自分」を受け止めてくれる環境(場)が、継続的かつ安定して提供されてい ることが STORIA の核となる価値です。

具体的には、

・自分たちの居場所が地域にあり続ける ・どんな心の状態があっても、どんな背景があろうとも「ありのままの自分=being」を受け止めてくれる人がいる

・大人や子ども、様々な肩書や立場を超えた人と人との関係性が築かれる

それらを構成する大切な要素は、環境(場)と私たちのスタンス(あり方)にありました。


私たちのスタンス

・相手に対する支配やコントロールから、場の担い手が解放されている

・他者に対する痛みと共感がある

・存在そのものを受け止め、全てを赦し、尊重するスタンスである ・全ての意見が尊重されている

・場にいる全ての人と共に考える姿勢である

・常に存在する場

・場にいる人の属性が多様である

これらの場と私たちのスタンスから得られる体験や経験によって変化が生み出されます。


得られる体験や経験

・自分自身を受け止めてもらう体験を得る

・肯定される経験をもつ

・相手を尊重する関わり合い方を知る

・良い面を探す視点を知る 
生み出される変化

□自分自身の捉え方に関する変化 

・自分自身を大切にすることが出来る

・ポジティブな思考を持つことが出来る 

□他者との関わり方に関する変化

・「他者のために動く」視点を持てるようになる

・他者を信頼し、頼れるようになる

・他者に対して寛容になることができる

このようなプロセス一つひとつを経て、時間を掛けながら変化が生み出されていきました。 

また、これらの成長プロセスは、私たちから子ども・保護者へという一方的なものではなく、双方向によって生み出されていくものであり、支援者や受益者という言葉や立場によ る関係性ではなく、人としてのフラットな関係性を大切にしたからこそ起きた変化である ということが言えると思います。

MSC手法を実践する中で見出された「変化のストーリー」ひとつ、ご紹介したいと思います。

[Mくんの変化]

M くんは小学校 4 年生の時に STORIA に来ました。お母さんは朝・夜とパートを掛 け持ちしながら一人で生計を立てており、経済的にも・精神的にも余裕がない生活を 送っていました。

M くんは学校では問題児扱いをされており、教室から黙っていなくなる、宿題をし ない、友達と喧嘩をすると直ぐに手が出てしまう、学校にも行きたがらないという状 況が続きました。そのため、M くんと母親との関係はとても悪い状態でした。

こう書くと、一見、M くんに問題があるように見えますが、実はその背景には M く んがこうした状況に追い込まれる理由がありました。

M くんには「自分は大切にされていない」という気持ちがありました。学校や家で も M くん自身の事情や気持ちも聞かれないままに「また何かやったの?、なんで出来 ないの?、こうすべきでしょう?」という言葉が掛けられていました。そのたびに Mくんは「自分はどうせダメなんだ」と感じていました。

私たちの居場所に通い始めてしばらくしてから、M くんはこうした悲しみや戸惑い を、私たちに教えてくれました。

居場所では、私たちはいつも M くんに謙虚に問いかけます。「M くんはどうしたい? 自分で考えて決めていいんだよ?私たちは M くんの想いを大切にしたいから」と。

宿題をいつするのか、友達と喧嘩をした時、仲直りしたいのか、したくないのかな ど、私たちは全てにおいて M くんの気持ちを尊重します。時にはその決断は大人の都 合から考えれば受け入れがたいこともあります。しかし、私たちは他者を傷つけたり、 法を犯したり、生命にかかわる取り返しのつかない事態に繋がらない限りは、M くん のやりたいこと、大切にしたいことを可能な限り尊重します。

M くんに対してこうした態度を繰り返すことで、M くんは、「自分は尊重されてい る。尊重されるに値する人間なんだ。信じてもらっている。失敗しても見放されない。 自分の想いで行動していいんだ。」と感じられるようになります。そして、「信じても らっているからこそ、○○したい。」と感じてくれます。M くんにとっては無意識かも しれませんが、私たちの接し方は、次第に M くんの言動に大きな変化をもたらすので す。

ある日、高学年になったMくんが下級生に私たちと同じフレーズを伝えていること に気が付きました。「〇〇はどうしたい?俺はそれでいいと思うよ。一緒に手伝うよ」 と。口数は決して多くない M くんですが、その一言が下級生の心に響いているように 見えました。M くんの行動は大きく変容し、問題行動と言われるようなことは全て無 くなりました。

現在、M くんは中学生となり、母親との関係も回復し、お母さんは涙ながらに「M はとても素敵な子に成長しました。」と話してくれています。

M くんは中学生となった今、ボランティアとしてこの居場所に参加してくれていま す。そして、私たちの仲間として一緒に居場づくりに貢献してくれています。


私たちとの関わりの中で、当時小学生だった M くんは大きく変化しました。


M くんはのちに、私たちにこう話してくれました。「STORIA は自分にとって視野を広げてくれる大きな経験となった場所。自分が変わったら見える世界が変わり、親や相手の気持 ちがよく分るようになった。自分ができることを恩返ししたくてボランティアに来ている んだ。」と。

M くんの変化を考える上で、私たちのスタンスを振り返ると、一つ重要だったことがあ ります。それは、「私たち大人も不完全な人間なんだ」と伝えることでした。

「わからない。一緒に考えよう。」と伝えることはしばしばでした。また「私が間違って いた。本当にごめんなさい。」と謝ることもありました。

M くんは、「将来は(STORIA のスタッフ)T さんのように、自分らしい生き方をしたい と思っている。」と語ってくれました。

笑顔を見せながら、堂々と自分の変化を語ってくれる M くんの姿が、M くん自身の選択 や気持ちを大切に、彼と付き合ってきた STORIA スタッフの T さんと重なり合って見えま した。

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