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(2) 精神面での支えの必要性

一方で、こうした経済的な面だけでなく、ひとり親やその子どもたちを、精神的な面でも支えることが大切です。

「K ちゃんのケース」のように、就労時間が長く、子どもと十分な時間を過ごすこと ができないひとり親家庭は日本にとても多いということが、調査によってわかりはじめ ています。

例えば母子世帯の仕事と育児・生活時間の国際比較を見てみましょう。この調査で は、日本、ヨーロッパ 10 カ国、アメリカを含めた 12 カ国で最も仕事の時間が長いの は、日本の母子家庭であることが明らかとなりました。その時間は 315 分で、主要先 進国の中でも最長です。一方、育児にかけられている時間は、調査対象国内で最も短 く、23 分に過ぎません。

日本に次いでシングルマザーの仕事時間が長いアメリカは(242 分),育児時間につ いては (74 分)と日本と 3 倍以上の開きがあります。 仕事時間が最も短いのはイギ リス(133 分)です。※3

つまり、国際的な比較から見ても、日本の母子家庭は生活時間の多くが「働くこ と」に偏らざるを得ず、子どもと触れ合える時間が極端に少ないのです。

日本では、核家族化が進んでいます。社会全体で、地域のつながりが希薄化する状況 の中にあって、「働くこと」に多くの時間を割かざるを得ないひとり親家庭の孤立は深刻

です。 ここまで見てきたように、日本では、家計を支え家事や子育てをしていくことが、と

ても困難な状況にあるひとり親家庭が数多く存在します。またこうした状況の中では、 保護者や子どもから精神的に余裕が失われるのは当然のことです。

今後、ひとり親やその子どもたちを公的支援や経済的な面で支えるために社会制度を 変えていくことはもちろんのこと、子育てや精神面で親御さんと子どもたちそれぞれを 見守り支える社会となることがとても大切です。そのような社会を目指し、私たち一人 ひとりが深い理解と想像力をもってアクションを起こすことが、これらの課題を解決す るための第一歩になります。

※6 MSC(モスト・シグニフィカント・チェンジ)は、欧米のNGOが使っている参加型・質的評価手法。

※7 ある施策がその目的を達成するに至るまでの論理的な因果関係を明示したもの。

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