1)生きる力を支える自己肯定感
それでは、そもそもなぜ非認知能力向上に向けた事業が大切なでしょうか。それは、 非認知能力向上に向けた事業は、私たちが目指す「子どもたち一人ひとりが自分らしく 生きられ、幸せになること(すべての子どもたちのウェルビーイングを実現する)」に繋 がっていくからです。
「自分らしく生きられ、幸せになること」を実現する一つの要素として、自分自身の 大切にする軸(自分らしさ)に気付くこと、そして、その軸を活かせるよう、自ら生き 方を選択し、アクションしていくことが挙げられます。これはいわば、「自分の人生を主 体的に生きていくこと」と言い換えられるかもしれません。
しかし、「軸を持って生きる」ということは、大人であっても簡単なことではありませ ん。社会や周りの人が持つ「他人の軸」によって評価されたり、期待されることがしば しば起こるからです。こうしたなかで、自分の軸を大切にし、それにひもづく行動を選 択し、アクションし続けるためには勇気が必要です。時には恐れや不安も付きまといま す。その恐れや不安を乗り越えることができるかどうかには『自己肯定感』が関係します。
自己肯定感とは、「自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を 肯定できる感情などを意味する9」と言われており、上手くいってもいかなくても、“自 分の存在は何一つ変わらない尊いものだ”という感情のことだと私たちは理解しています。
この自己肯定感が土台にあることで、その他の非認知能力「自制心・主体性・自己効 力感・回復力・共感性・社会性・思いやり・想像力」が引き上げられていくのではない かと、子どもたちの成長を観察する中で感じています。
自己肯定感(上手くいってもいかなくても、“自分の存在は何一つ変わらない尊いもの だ”という感情)があり、非認知能力が引き上げられると、自分らしい生き方ができ、 他者との関係が豊かになり、精神的・身体的・社会的な幸せに向かっていくのではない でしょうか。
2)共に未来を創る「あり方」を大人が学ぶ
非認知向上プロジェクトは、子どもたちの成長を目的としています。しかし活動を続 ける中で、この取り組みは、大人にとっても非常に大切なプロジェクトになるというこ とに私たちは気が付きました。それは、前述した通り、「子どもたち一人ひとりが自分 らしく生きられ、幸せになること(すべての子どもたちのウェルビーイングを実現す る)」ことを実現していくためには、私たち大人も「自分自身の大切にする軸(自分らしさ)に気付き、その軸で生きようとすること」が大切だからです。 私たち大人が子どもたちと共に学び、共に可能性を信じ、そして共にチャレンジして いくことこそが『これからを生きる子どもたちと共に未来を創っていく』ことだと気付 かされました。この事業を通して大人自身が「生きる」ということや「幸せ」について 子ども達と共に探索していくことが、子どもたちと共に未来を創る歩みへと繋がっていくのだと考えています。